| ■いい夫婦の日の話。
 
 そこそこ前の話なんですが、友人(男)と話をしていた時にふと友人から「うちの嫁が〜」って言葉が出たんですよ。そのあとに話は続いたはずなんですが、私の頭の中は「え?こいつ結婚してたっけ?」でもちきりです。
 
 彼女(ちゃんとホモサピのやつ)はいたかもしれない。でもこればかりは自分でどれだけ考えても正解は出ないので、思いきって聞いてみました。食い気味に「あれ結婚してたっけ?」と。
 
 「え?してないけど」
 
 こわい。
 数十秒前の話の前後がつながらない。
 
 疲れかもしれない、寂しさのあまりイマジナリーワイフを練成してしまったのかもしれない。家ではシリコン臭い人型が緑ツインテのウィッグを被り、夫よりも高級な服を着て鎮座しているのかもしれない。
 
 そこそこの確率で触れてはいけない話題かもしれないとそれ以上は追及せず、相手の話を聞くことにしました。何もしないことで「親しき中にも礼儀あり」と「沈黙は金なり」を同時にやってのけるコスパ最大級の人格者、なすカレーさん。膝の震えは止まりません。
 
 
 そして話の聞き手に戻り、友人の話から確定ではないものの正解を引き出しました。友人は(まだ結婚していない)現在の彼女を「嫁」「奥さん」と呼んでいるらしい。
 
 〜
 
 結婚って、相手のその後の人生に責任を持つという契約だと思うんですよ。
 なんか格好良い言い方をしましたが、「この手漕ぎボートを2人で漕ぎましょう。片方が船底に穴を空けたら2人とも溺れ死ぬし、片方が漕がなくなったらもう片方は2人分オールを漕がないといけない。でも2人で仲良く漕げば負担は少ないし2人一緒なら楽しいかもしれないよね」というものだと思うんですよ。
 
 私もうちのこと付き合ってから結婚まで、かれこれ十数年要しました。比較的ちゃらんぽらんに生きている甲斐性無しの私には他人の人生は重過ぎます。さんざん悩み、結局結婚に至りましたが、相手も心中穏やかではなかったと思います。この男は私の人生に責任を持つ気があるのか、それとも責任を持たず30半ばで放流されるのか。こういう時は社会的に男より女のほうが大変だと思います。私が女の立場だったら毎日テーブルの上にゼクシィ置いてやるわ。思いと重いをかけた切っ先が鋭すぎるギャグ。
 
 そういうこともあり、私の中では妻・嫁・奥さん・家内のような、一般的に結婚後の相手に使われる呼称はある意味結婚という契約を結んだものだけが使えるものという考え方があったため、友人が付き合っているだけの相手を奥さんと呼んでいたことに関してとてもモヤモヤしたものが残り、「もし私が友人の彼女で、外で自分のことを奥さんと呼んでるとか知ったら、そういうのは私と結婚する覚悟を決めてからにしてくれない?ってキレるだろうなあ」などと思いつつ、黙って友人と奥さん()の話を聞いていました。
 もちろんこれは私の思うところで、友人と彼女が何とも思っていないならそれで良いんですが、その後彼女と別れたという話を聞いてみたり。
 
 
 
 というわけで、婚前の相手を妻呼ばわりするのはやめたほうが良いと思います。個人的に。もちろん「長門は俺の嫁!」みたいな、二次元に対する嫁発言は良いと思います。だって責任持ってる(いくら金かけたと思ってるんだ)もの。
 
 え、長門は俺の嫁!を知らない!?そういう時代!?
 
 
 
 
 追伸
 うちは気持ち悪いくらい仲良いです。仲良しの秘訣は相手を決して上に見たり下に見たりせず、対等でありながら敬いあう事です。
 
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